東京地方裁判所 昭和52年(特わ)2484号 判決 1977年12月22日
被告人
本店所在地
東京都町田市金森一、一六九番地の一一
株式会社斉藤工務店
(右代表者代表取締役斉藤政由)
(一)
本籍 東京都町田市金森一、一六九番地の一一
(二)
住居 本籍に同じ
会社役員
斉藤政由
昭和七年一一月二三日生
右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官五十嵐紀男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社斉藤工務店を罰金四〇〇万円に、
被告人斉藤政由を懲役六月にそれぞれ処する。
被告人斉藤政由に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社斉藤工務店は、東京都町田市金森一、一六九番地の一一に本店を置き、建物等の建築工事等を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人斉藤政由は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人斉藤は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空外注工賃を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二九、八二八、二八〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同四九年一一月三〇日、同都八王子市子安町四丁目四番九号所在の所轄八王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、三一二、九二六円でこれに対する法人税額が五九七、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一一、一五二、〇〇〇円(別紙(三)の一税額計算書参照)と右申告税額との差額一〇、五五四、三〇〇円を免れ
第二、昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二八、七一〇、〇三四円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五〇年一二月一日、前記八王子税務署に対し、その所得金額が五、四四九、九一六円でこれに対する法人税額が一、四三四、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一〇、五二二、七〇〇円(別紙(三)の二税額計算書参照)と右申告税額との差額九、〇八八、〇〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)(甲、乙は検察官の証拠請求の符号)
判示冒頭の事実および全般にわたり
一、被告会社の登記簿謄本(甲1)
一、被告人斉藤政由の当公判廷における供述
一、同じく検察官に対する各供述調書二通(乙4、5)
一、同じく収税官吏に対する各質問てん末書三通(乙1、2、3)
一、山下広子の検察官に対する供述調書(甲2)
判示事実添付の別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げる科目別当期増減金額欄記載の数額について
<外注工賃につき>
一、山下広子の検察官に対する供述調書(甲2)
一、斉藤美和子の検察官に対する供述調書(甲3)
一、収税官吏菱田次男作成の架空外注工賃及び未成工事支出金調査書(甲4)
一、検察事務官有村利夫作成の捜査報告書(甲5)
<期首未成工事支出金(昭和四九年九月期のみ)につき>
一、収税官吏菱田次男作成の架空外注工賃および未成工事支出金調査書(甲4)
<支払手数料につき>
一、海東税務会計事務所渡辺享宥作成の申述書(甲6)
一、森谷繁夫作成の申述書(甲7)
<受取利息につき>
一、収税官吏菱田次男作成の預金等受取利息および期末残高調査書(簿外預金)(甲8)
<事業税認定損につき>
一、収税官吏菱田次男作成の事業税認定調査書(甲9)
別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について
一、押収してある被告会社の法人税確定申告書昭和四八年九月期分(昭和五二年押第二四〇一号の符一号)
一、同じく昭和四九年九月期分(前同押号の符二号)
一、同じく昭和五〇年九月期分(前同押号の符三号)
(法令の適用)
被告会社につき
いずれも法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。
被告人につき
いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)。二五条一項。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 松沢智)
別紙(一)
修正損益計算書
株式会社 斉藤工務店
自 昭和48年10月1日
至 昭和49年9月30日
別紙(二)
修正損益計算書
株式会社 斉藤工務店
自 昭和49年10月1日
至 昭和50年9月30日
別紙(三)の一
税額計算書
株式会社 斉藤工務店
1. 昭和48年10月1日~昭和49年9月30日事業年度分
別紙(三)の二
2. 昭和49年10月1日~昭和50年9月30日事業年度分